大判例

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高松高等裁判所 昭和27年(う)622号 判決

論旨は原判示第二の事実につき被告人は本件貸付行為により原判示組合に対し何等損害を与えていないから原判決は事実誤認であると謂うのである。仍て考察するに背任罪が成立するには本人に財産上の損害を加えることを必要とすること所論の通りであるけれども、刑法第二百四十七条に所謂財産上の損害を加えたるときとは財産的実害を生ぜしめた場合のみならず実害発生の危険を生ぜしめた場合をも包含するものと解すべきであり(旧大審院昭和十三年(れ)第九二九号同年十月二十五日判決参照)、前敍の如く原判示組合において組合総会の決議により一組合員に対する貸付金額の最高限度を定めているに拘らず右定めに反し被告人が自己及び第三者の利益を図る目的で吉岡梅太郎及び宮内宇策に対し右最高限度を超えた貸付(吉岡に対しては四十八万円、宮内に対しては十七万余円)をなした以上回収不能に陥る結果を埃つことなくしてその一事により組合に対し財産上の損害を加えたものと謂はなければならない。従て仮に所謂の如く本件貸付当時右吉岡及び宮内がいずれも相当の資産を有し且つその信用状態も良好であつたとしても組合に財産上の損害を生ぜしめる危険が全然なかつたとはいえず、原審が原判示第二の貸付行為を背任と認定したのは蓋し相当であると謂はなければならない。原審が取調べた各証拠を検討し論旨主張の諸点を十分考慮に容れても背任の点につき原判決に事実誤認の疑はなくまた原審の審理が不十分であるとも見られない。従て論旨は採用し難い。

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